あん摩・マッサージ・指圧とは

体の不調を訴えているとき、背中をさすってもらい体が楽になった経験をされたことがあるかと思います。
私たちは、誰に教わることもなく、お腹が痛くなると手でお腹をさすったり、肩がこると肩を叩いたり、頭痛がするとこめかみに手を当てたりします。
日常、こうした行動はごく自然に、無意識のうちに行っていますが、患部に手を当てることで、痛みが和らぐことを経験的に知っているからです。
おそらく太古の昔の人々も、あるいは人類がこの世に誕生したときにはすでに、「患部に手を当てる」という原始的な医療行為が行われていたと考えられています。
こうした原始的な医療行為が数千年の時を経て発展し、体系化されていくなかで、「あん摩マッサージ指圧」という手技療法が確立され、「あん摩」「マッサージ」「指圧」は、それぞれ固有の起源や理論、使い方が異なる手技療法ですが、我が国では、「あん摩マッサージ指圧師」として1つの国家資格になっています。
その国家資格を取得するには、厚生労働大臣認定の「あん摩マッサージ指圧師」を養成する専門学校を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
訪問マッサージは、「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格を持った治療師が、患者さまがお住いのご自宅や介護施設等に訪問して行う医療上必要とされるマッサージ治療のことを言います。
あん摩とマッサージと指圧に加えて運動療法(変形徒手矯正術)を組み合わせた施術を行い、血液やリンパ液の流れの改善や関節の可動域の改善をして症状を緩和する療法です。

あん摩

「あん摩」は、もともと中国から伝わり、衣服の上または手拭いを用いてその上から、心臓から末端へかけて、「押す・もむ・さする・なでる・たたく」といった手技により身体の変調を整える技法です。
「按摩」とも書き、「按」は、「おさえる」、「摩」は、「なでる」を意味します。

マッサージ

「マッサージ」は、ヨーロッパが起源で、明治以降に日本に伝わり、直接皮膚に刺激を与え、末端から心臓に向かって、求心性の技法により血液やリンパ液の循環を良くして新陳代謝を促し、循環器系や消化器系などの疾患の改善に役立てられます。
訪問マッサージにおいては、「あん摩マッサージ指圧」のことをマッサージとして指し、患者さまの身体状態に合わせて使い分けます。

指圧

「指圧」は、日本独特の技法で、あん摩・マッサージのように「もんだり」「たたいたり」せず、手指や手掌で体表に「圧」を加える技法により、筋肉の疲労物質を除去し、筋肉を正常化し、体の均衡を保つことを目的としています。
種々の圧法、圧加減等、また、加圧の速度も体の状態に応じ、ゆっくりと、ある場合はリズミカルに操作し、中枢から末梢へと遠心性の方式で行う特徴があります。